清山会グループからのご案内

ナラティブRBA奨励賞

2018.08.30

2018年8月ナラティブRBA賞受賞 グループホームみやぎの杜 橋本 美由紀 さん

今年の7月16日早朝Hさんは天国へと旅立ちました。
Hさんとの出会いは約8年前、一人暮らしだったHさんは子宮の手術後みはるショートをご利用になり、その後私たちの事業所へ入所。
いつもQちゃん(キューピー人形)を抱きながら優しい笑顔でみはるのデイにも元気に通われてました。
しかし一年前くらいから笑顔が少なくなり、職員に対しても「いいから!」と手を振り払うことが多くなってきたのです。
食事水分も徐々にとれなくなりデイも中止、点滴が始まりました。
私は時々点滴のヘルプにGHへ行ってましたが4月みはるから異動になりHさんと一緒にいる時間が増えました。
ひと回りもふた回りも小さくなってしまったHさん、、、
ある日点滴時「なんでこんな事するの!」と怒られ
「本人が望んでないのに本当にごめんなさい、、、」と落ち込んでると、あるスタッフから「梅村さんネタを話すと笑ってくれます!Hさんは梅村さんの事が大好きだから!」と教えてくれました。
すると「そんな人知らないわよ~」といいながら笑顔に!
「そうだよねー梅村さんHさんに黙って結婚したんだものね。」そうスタッフが話すと声を出して笑ってくれました。
そうだ。もっとHさんの事、教えてもらおう!
梅村さんとHさんがオシャレをして映画を観に行った事(デートですよね!)
夏祭りで梅村さんが結婚した事を発表した時
「私に断りも無しに結婚して!」と怒った事
そして、、、
Hさんは7人兄妹の長女で恋愛もせずに兄妹を守ってきた事
お父さんが酒乱だったからお酒飲みの男の人は嫌いな事
Qちゃんは、お母さんとマヨネーズ食べて応募して当たった事だからお母さんとの思い出だから大事にしてる事など、、、
話しを聞いていてHさんとGHのスタッフとの8年間で築き上げてきた関係性も知ることができ、その歴史には及ばないけど仲間に加わりたいと思った瞬間でした。

それからは少しでもHさんに笑って過ごしてもらおうとスタッフ一丸となって取り組みました。
Hさんのペースに合わせHさんが調子がいい時、本人が望む時、ホールで皆さんと過ごして頂いたり食事も無理強いせず好きなものをお楽しみ程度召し上がってもらったり、、、
お花見も天気はイマイチでしたがユニット全員参加で手作りのお弁当を持って行く事ができました。
Hさんが私の作ったハンバーグと卵焼き(味は微妙ですが)少しでも食べてくれたのは嬉しかったです!

しかし徐々にHさんの体力は低下ベッドで過ごす事が多くなってきたのです。
そんな時スタッフから「Hさんと定義山に行きたいんです!毎年お札を買ってお祈りするのを楽しみにしてたから。」と相談を受けました。
今のHさんの体力では長距離車に乗れるだろうか?Hさんの気持ちは?私達の自己満足にならないだろうか、、、
スタッフの中でも色々な意見がありました。

ある日とても穏やかな表情をしてたHさんに「Hさん今年も定義山に行く計画があるみたいですがどうですか?」と聞いてみると「いいね~行きたいね~」と答えてくれたのです。
これは行くしかない!
今年が最後になるかも、、、
そんな思いでスタッフはHさんと定義山に行くために準備を始めました。
家族さんに連絡をして往診の先生から今のHさんの状態を説明してもらい家族さんからと先生は「ナースが一緒に行くなら」と許可を頂き、
当日は点滴を早めに施行しHさんの体調に変化があればすぐに戻ってこれるよう体制を整え、、、さあいざ出発‼︎

心配してた事が嘘のようにHさんはQちゃんを抱っこしながら終始笑顔!「疲れませんか?」と聞くと「大丈夫よ。」と。
みんなでお参りしお蕎麦と味噌おにぎりを食べ素敵な写真もたくさん撮れました。
帰ってからHさんと「楽しかったねーまた来年も行きましょう!」と約束しました。

でもそれは叶いませんでした、、、
全く経口からとれなくなり心不全も悪化むくみもみられるようになりだんだんと会話も少なくなってきたのです、、、

7月に入り眠ることが多くなってきたHさん、、、
ホールにも来れなくなり一番奥の居室だった為、寂しくないようにスタッフは時間の許す限り、
Hさんの居室に行き時にはいつも一緒に過ごしていたMさんやFさんに声をかけてもらったり大好きな梅村さんの写真を側に飾ったり、
大好きなQちゃんを枕元にならべたり、、、

ある日「星が見たいなぁ、、、」と言ったHさん。すると次の日には天井にたくさんの星‼︎
部屋を暗くすると光る星のシールです!
スタッフが汗だくになりながら貼ってくれました。

Hさんは血小板が二万と減少し身体に内出血、口の中の出血もひどく意識レベルも低下
呼吸も不規則になってきました。
Hさんとのお別れが近いかも、、、
石川さんからみんなに連絡してもらうことに。
すると休みのスタッフや異動になったスタッフ、そして退職された方もみんなHさんに会いに来てくれたのです。
居室にはたくさんの人。Hさんの好きな北国の春をウクレレで弾いてくれるスタッフ、それに合わせてみんなで歌ったり壁一面に貼ってるHさんとユニットみなさんの写真をみながら思い出話し、
静かな時がなかったように思います。意識はありませんがHさんも一緒に笑っているようでした。
夜になり血圧も低下。ずっとHさんと入所の時から関わってきたスタッフが「Hさんはずっとひとりで兄妹の為に苦労してきた人だから最期は寂しい思いをしないように側にいたい」と
ずっと寄り添ってくれてました。
そうしているうちに血圧は50台に、、、

たった一人の妹さんが仙台に向かっているとの連絡がありましたが
なかなか到着されず、、、間に合ってくれれば、、、
Hさんは手をさすると血圧もSpo2も上がります!
きっとHさんは妹さんの到着を待ってるんですね。それとも夜中なのに着かないから心配してるのかなぁ?
そんな話しをしながらHさんと一緒の時間を過ごしました。
私はいったん自宅にもどり待機。朝方「呼吸が止まりそう、、、」と石川さんから連絡が入り、駆けつけるとすでに息を引き取っていていました、、、
スタッフによると深夜バスに乗ってきた妹さんが仙台に到着したと連絡がありそれを伝えると安心したように大きく息ををしてそのまま、、、だったそうです。
安心したんでしょうね。最期までお姉さんだったんですね。本当に安らかなお顔でした。
往診の先生が来られた後スタッフとエンゼルケアをするとこんなにも栄養状態が悪くむくみもひどいのに床ずれひとつなくきれいな身体にびっくり!
それだけユニットのスタッフはHさんとの時間を大切にして手厚いケアをしてきたんだなぁと感じました。
梅村さんも駆けつけてくれてみんなでHさんを見送る時、いつもHさんに声をかけてくれていたMさんが突然大声で泣きだしたのです。
私もつられて抱き合ってHさんとのお別れを悲しみました、、、

Hさんとともに入所されてるみなさんスタッフがどれだけ素敵な関係性ができてたのか。お互い信頼し合ってたのか。そしてたくさん楽しい思い出があったのか。
最期のHさんの安らかなお顔が教えてくれたように思います。

看取りだから特別ではなく普段からの関わりを大切にすることでその人らしく生きてその人らしく最期を迎える事ができる、、、
それをHさんGHのスタッフから教えてもらいました。

まだまだ力不足かもしれませんがこれからもたくさんの物語をみんなで作っていきましょう!
今も玄関に入るとHさんの素敵な笑顔の写真が迎えてくれます!
Hさんみんなの事見守ってて下さいね。

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